大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

静岡地方裁判所 昭和42年(わ)71号 判決 1967年4月25日

本店所在地

浜松市小沢渡町二五六番地

松井工業株式会社

(右代表者代表取締役 松井照三郎)

本籍

浜松市野口町一〇一番地

住居

同所同番地

会社社長

松井照三郎

大正一四年二月五日生

右の者らに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官山中朗弘出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人松井照三郎を懲役六月に処する。

ただし、この裁判の確定した日から三年間右刑の執行を猶予する。

被告人会社を罰金二五〇万円に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人松井工業株式会社は、浜松市小沢渡町二五六番地に本店を有し、自動車部品の製造販売を目的とする資本金一、八〇〇万円の会社であり、被告人松井照三郎は右会社の代表取締役として、同会社の業務一切を統轄しているものであるが、被告人松井照三郎は被告人会社の業務に関し

第一、昭和三八年四月一日より昭和三九年三月三一日までの事業年度分の法人税を、ほ脱しようと企て、架空の材料費を計上する等の方法により所得の一部を隠匿し、同事業年度における所得金額二、七七三万九、〇五五円、これに対する法人税額一、〇四八万五、四九六円であつたのにかかわらず、昭和三九年六月一日所轄浜松税務署において同署長に対し所得金五九七万二、二一二円、これに対する法人税額二一六万九、四三六円である旨過少に記載した虚偽の法人税額確定申告書を提出したが、その後同年一二月二五日前記税務署長が申告所得金額を金六八三万〇、四〇〇円、これに対する法人税額二五四万〇、二二六円(更正による増差税額三七万〇、七九〇円)にそれぞれ更正し、よつてその差額七九四万五、二七〇円の法人税をほ脱し

第二、昭和三九年四月一日より昭和四〇年三月三一日までの事業年度分の法人税をほ脱しようと企て、前同様の方法により所得の一部を隠匿し、同事業年度における所得金額が二、一七七万一、五五〇円、これに対する法人税額が八一二万三、一七六円であつたのにかかわらず、昭和四〇年五月三一日所轄浜松税務署において同署長に対し、所得金額八三九万二、七九八円、これに対する法人税額三〇三万九、二二六円である旨過少に記載した虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつてその差額五〇八万三、九五〇円の法人税をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示冒頭事実につき

一、被告人兼被告会社代表者松井照三郎(以下「被告人」という)の当公判廷における供述

一、被告人会社の登記簿謄本

判示第一、第二の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、別紙証拠一覧表中番号欄1ないし15、23、27、28、31、32、34ないし52に記載した各証拠

一、押収してある

(1)  普通預金通帳五冊(昭和四二年押三〇号の一ないし五)

(2)  印鑑二個、ゴム印一個(同証号の八)

(3)  印鑑三個、ゴム印一個(同証号の九)

(4)  請求書四綴(同証号の一〇、一三、三一、三二)

(5)  納品書二綴(同証号の一一、一四)

(6)  領収書二綴(同証号の一二、一五)

判示第一の事実につき

一、法人税確定申告書写(昭和三八年四月一日から同三九年三月三一日までの事業年度分)

一、法人税更生決議書写(右と同一年度分)

一、別紙証拠一覧表中番号欄の16、25、26、29、30、33に記載した各証拠

一、押収してある。

(1)  伝票二綴(昭和四二年押三〇号の一七、一八)

(2)  請求書一一綴(同証号の二一ないし三〇)

(3)  小切手領収証一綴(同証号の三三)

(4)  納品書二綴(同証号の四五、四六)

判示第二の事実につき

一、法人税確定申告書写(昭和三九年四月一日から同四〇年三月三一日までの事業年度分)

一、別紙証拠一覧表中番号欄の18、24に記載した各証拠

一、押収してある

(1)  伝票一綴(昭和四二年押三〇号の一九)

(2)  通信費伝票一綴(同証号の二〇)

(3)  小切手領収証一綴(同証号の三四)

(4)  納品書六綴(同証号の三九ないし四四)

(法令の適用)

被告人及び被告会社の判示第一の所為は、昭和四〇年法律第三四号附則一九条により、昭和三七年法律第四五号により改正された法人税法四八条一項、ほかに被告会社については、同法五一条一項に判示第二の所為は、法人税法第一五九条一項ほかに被告会社については、同法一六四条一項に各該当するところ、被告人松井については、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をなした刑期の範囲内で被告人松井照三郎を懲役六月に処し、被告会社については、各所為の罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金二五〇万円に処し、なお被告人松井照三郎については、諸般の情状を考慮して刑法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

(裁判官 相原宏)

証拠一覧表

〈省略〉

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例